我輩は天子である

我輩は天子である

吾輩は猫である。名前はまだない。

どこで生れたかとんと見当がつかぬ。

どうしても薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

吾輩はここで始めて人間というものを見た。

しかし、どこで見たか記憶していない。

何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。